2016年9月29日木曜日

晴天の雁坂になって欲しい!!

 最近の天候を「くさった秋」とラジオで言ってたのを耳にしました。確かに、8月からずっと続く雨。思ってもみなかった騒動の連続。体も気持ちもくたびれた9月になりました。
 10月、11月はいいお天気で、忙しくとも穏やかな気持ちで小屋締めまでの時を過ごしたいものです。
 前回の記事には4日間で14800を超すアクセスがあり、反響の大きさに驚きました。主催者のFBには5時間後に『不適切な箇所があったこと・・・・訂正してお詫びいたします』と書き込まれました。点検・補修作業に行った直後に書いた記事を、1週間後に見解がなぜ変わったのか触れていませんが、10月中に修復作業を行うとの事。作業の様子はまたお知らせしていきます。22日のFBのコメントに出ていた「山ノ神」、実は突出コースの途中にあるんです。登山道からもよく見える場所です。
小屋から見える💛マークは葉が落ち白いハートに。写真は日の出で幹が朱に見えますが。25日の地蔵岩からの眺め。紅葉の進み具合の参考にしてください。朝、煙突から登る煙、日の出とともに染まる山並みや雲。見にきてください。
甘い香り:黒岩コースの途中「火打石尾根」の手前に大きな桂の木があります。葉の形が💚形。落ち葉の頃は付近に砂糖を焦がしたような甘い香りが漂います。小屋の下の水場の先にも大木ではありませんが桂があります。香りの秋を楽しんでみてはいかがでしょうか。落ち葉は押し花にするには向きませんが。
*選手の方も:道の荒れたことが気になったというご意見は選手の方から寄せられました。それでもう一つ考えていただきたい事。ブログにも書いた「今日やって大丈夫かな」という話。道も心配でしたが、選手の安全面も。黒岩コースのあせみ峠手前のジグザグ道など、落ちると20~30m滑り落ちます。それが何ヶ所かあります。雨で路肩が緩み、あの雨と気温の中で谷に落ちると皆さんの服装では擦り傷・切り傷だけでなく、すぐに冷え、体が硬くなっていれば他のケガにもなりかねません。ともに走っている選手も助けようと止まれば冷えてきます。黒岩の道には幾つか「携帯通じます」の案内を出してありますが、あせみ峠より上は電波の届かない場所がほとんど。小屋の要員のところまで連絡に走る人も必要です。突出コースも似たようなところ。あの雨ではヘリは飛びません。状況によって山岳救助隊が出場するにしても秩父市内から登山口まで1時間。歩いて小屋まで早くても2.5から3時間はかかり、ケガ人を下ろすとなると倍以上の時間を要します。あの道を人ひとり運ぶのはなかなか大変なことです。小屋へAEDを上げていたことは知っていますが、万が一の場合の体制は大丈夫なのか心配でした。小屋番が知らないだけで、体制が整っていたのであれば余計なお世話と笑ってください。大会に向けて練習を重ね、仕事をやりくりし、会費を払い、準備を進めてきたとしても、体が命が大事。晴れていれば何でもないことが、ひとたび何かあると色々重なってきます。山の怖さです。走った選手247名のうち完走率49,8%から見えてくること。主催者はもちろん選手の皆さんにも考えていただきたいと思っています。小屋から降りるとき何度か転がり落ちたことがある、まくれたことがある小屋番の願いです。

*長雨の影響で登山道の崩れや、少し風が吹いただけでも倒木が発生しやすい状況です。くれぐれも気を付けて登ってください。黒岩の倒木や土砂崩れはまだ処理できていません。
*前回の記事の右上の写真、同じものが2枚張り付けてありました。ごめんなさい。
*次のブログ更新は4日(火)の予定です。(131274)
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2016年9月26日月曜日

トレラン大会の後、黒岩・突出とも道が大変に荒れています


 先週の日曜日18日にスポーツエイド・ジャパン主催の「雁坂峠越え秩父往還道145km」トレラン大会が行われました。前夜から降り始めた雨は朝になってもやまず、小屋の者は、道は大丈夫だろうか。足や腕をむき出しの格好で滑落事故や低体温症などの事が起きたらどう対処するのだろう。この天気ではヘリは飛ばないし、と気をもんでいました。雨の中を黒岩コースから選手が登ってきます。次第に泥だらけになった姿が目立ってきました。ドロドロの姿は登山道を這い上ってくるから。むき出しの足、腕、顔、ゼッケンや背負っている荷物、どこも泥で汚れていました。後半になるほど激しく汚れています。トイレ脇の水道で手や顔を洗うので、バケツの水が茶色く濁り、何度水を変えてもすぐ濁ります。水を捨てるとバケツの底には泥がたまりました。選手は峠に立ってから突出コースを降りていきました。翌19日に小屋番も黒岩コースを降りました。道の様子は前回のブログに書きましたが、トレランのために道はぐちゃぐちゃ、どろどろ。何か所も路肩が崩れ落ち、こねくり回した泥の斜面になっている。それはひどいものでした。5月の連休以降、ストックを三角フォーに変えて、小屋への登り下りのつど、ちょっとずつ登山道を整備してきた小屋番にとっては耐え難い光景でした。安全に、楽しく上がってきてほしいという願いは、数時間で蹴散らされました。この時にはまだ突出コースの事は確認できていませんでした。
大会後に数名の方からメールが入りました。「登山道をぐちゃぐちゃに荒らしてしまった」事をわび、「何か自分にもできることはないだろうか」と問いかけるものでした。またヤマレコの中にも「雨の為、大会にて参加者が通るため崩れてしまい、最後にボランティアスタッフが下山するころはかなり、【突出コースの】登山道はぐちゃぐちゃでした。」という記事もみました。今回の全ての責任は選手個人ではなく、参加費を集めて開催する主催者にあると考えます。この後、どんな事後の対処をするのか主催者の動きを待っていました。
そして【9月21日に山岳区間を点検・補修作業に行ってまいりました】という主催者のフェイスブックに9月22日1:00にアップされた記事を読み、何か違和感を感じました。「現時点では通過に問題ありませんので、ご安心ください。」というコメントにびっくりなら、記事の構成も何かおかしい。https://www.facebook.com/SportsAidJapan/?hc_ref=PAGES_TIMELINE&fref=nf
1枚だけ張られた写真は苔むす倒木、笹、霧の立ち込める「奥秩父の幽玄さ」を表すイメージ写真。「路面が荒れ、崩壊箇所もあるので、・・・・」などの意見を受けての点検・補修作業なら、なぜその写真を載せてないのか。見せられない状況なのか。それでも、本当に問題はないのか。
今回、24・25日に突出・黒岩登山道の巡視点検をしてきました。実際に見て写真も撮ってきました。現時点で両方のコースとも通ることはできます。が大変に滑りやすく、流れた土壌の回復や、崩れ落ちた路肩など、解決されてはいません。通過に問題はありませんという見解はどこから出てきたのでしょうか。突出コースでは雁道場から突出峠の間が特に荒れています。赤土がむき出しになった滑りやすい場所と、その下に腐葉土層がこねくり回されてグジュグジュになっています。黒岩コースでは天然唐松見本林から先が荒れています。路肩が崩れると、荒れていない足場を求めて次々に山側を通ろうとする。そこでまた滑り・崩しの繰り返しで、谷に向かって滑り落ちそうになる斜面がいくつも。そこには笹の葉や茎、根が下に向かって谷側に押し付けられ、さらに滑りやすくなっている。1週間たってもまだ怖さがある。通過するのが大変。
それから主催者によるであろう補修の跡は3箇所だけ確認した。
「この先、路面が乾くのを待って登山道の整備に入る予定です。」や「トレランの行為によって山を痛めてしまうことは、耐えがたいほど切ないです。」と書いているからには、真摯に回復作業に取り組んでいただきたい。11月に入ると霜が降り、湿った日陰は氷が張るようにもなり、天気の悪い時の作業は逆効果にもなります。あまり時間は残っていません。またこの気象状況で実施したことについてもしっかり検証して今後の事を検討していただきたい。これまでトレランの大会には理解を示してきたつもりだが、今回の事はあまりにもひどい。
ただ、今回の騒動の中で小屋にとって救いだったのは、突出を上がり黒岩を降りて、実際の様子を確認しに来たお客様がいらしたこと。ついこの間フルで走って体力的に厳しい時にもかかわらず。その気持ちがありがたいことです。他にも、個人や有志で何かできないかと考えている方々がいること、メールなどで声を寄せていただいていることがが救いです。
*突出コースの荒れた場所や考えられる仕組み、黒岩コースの荒れの事はまた後日書きます。
*黒岩コース ふくろ久保の手前と、つり橋小屋方向との分岐の先、2か所に倒木が発生しました。また林道入り口から少し進んだ先が土砂崩れしています。歩きで通れますがくれぐれも頭上注意をお願いします。【様子は写真をご覧ください】
*気温は晴れると朝は10度位まで下がります。日が当たると暖かいものの日暮れは徐々に冷え込んできます。

2016年9月19日月曜日

秋の長雨、それにしても降りすぎでしょう


雨でも食飲研修はやってしまった
よく降る。山の日の頃からずっと雨の日が多い。普段は水が流れない山肌からも流れ出てきて、噴き出す水の勢いは強く、道を突き崩してしまう。雨が降らずに水が枯れるのも困るが、今の状態は降りすぎ。雨が降ればお客様の予約はキャンセル。外の作業もできない。雨が止むのを待つ。お客様の熊鈴の音を待つ。ただ待っているのも疲れる。これを「ひま疲れ」と言うのだと教わった。
やっと晴れた土曜。朝から寝具を広げて干した。すると庭では夏の間楽しませてくれたヤナギランの種が風にのって飛んでいる。茎が揺れるたびに綿毛が舞い上がっていた。峠から霧が降りてくると小屋番は寝具を慌ててしまい、ヤナギランの綿毛は湿り気を帯びて塊になってしまった。
その後はまた雨降り。夜は食飲研修。今回のテーマは、山で泊まる時。小屋泊り、テント、ツェルト、ウルトラライト登山…何をどうそろえたら…なんて話だったような…気がする。たぶん。お客様の差し入れの日本酒やワイン。数か月前に預かっていたマイボトルのプチプチを開いてみると手作りのボトル札。Kさん、これいいですね。こういうの大好きです。楽しい発見。プチプチ開けただけで、蓋は手をつけていませんよ。
モルタルの袋を背負ってきた職人さんは土間で作業。コテ裁きもなかなか様子がいい。今回は実験。もう少し沢山の分量を運び上げておき、一気に全体を塗った方が良いだろうと言うことに。今後の作業に続く。
様子がいい職人さんの手さばき
19日は敬老の日。ご飯は何にするか?食材の残りは?とか考える必要もなく、イタリアシェフのお任せ料理が出てくる幸せ。さらに63歳の小屋番がただいま四十肩。お馴染みのお客様が鍼治療をしてくれた。調子いい。寝具をたたむのもスムーズにいった。皆さん本当にありがとう。が、よかったのはここまで。雨の中、黒岩コースを降りる。道はぐちゃぐちゃ、どろどろ。何メートルも路肩が崩れ落ち、こねくり回した泥の斜面になっている。それが数か所。滑ってずり落ちる。這い上がろうと足をかけてもそこからまた滑る。登山口で迎えの車に乗る時、尻の下に敷いた新聞が泥と雨とですぐににじんでしまった。にじむ新聞紙に老後の姿を見た気がする敬老の日。さて、道はこの後どうしたものか。あれこれ考えくたびれていたところに、日曜に立ち寄ってくれた福島のお客様からのメッセージがあり、ありがたかった。気持ちが元気になる。
*朝方の気温は晴れると13度。曇りで15~16℃。日中も風が出ると寒く感じます。明るくなるのは5時過ぎ。日の出が5時半ころ。夕暮れはますます早くなっています。明るいうちに小屋へ着くように計画しておいでください。小屋の周りでは落葉が始まり、道に積もり始めます。斜面の落ち葉は滑りますよ。
*先週の怪:9月12日にブログへのアクセス数が急上昇。日頃の数倍の数。何事?と調べると2015年3月6日「豆焼き沢の鍾乳洞」へのアクセス。埼玉県が調査のための予算を組んだとかいう新聞記事の影響かと思いますが、びっくりしました。この後3日ほど続きました。

2016年9月11日日曜日

雁坂峠からの眺め

小屋にいてお客様から「峠から見えるあの山は何という山ですか」と聞かれることがあります。
「富士山」はわかるのと、「金峰山」は見えないことは知っているものの他の山はあいまい。よく知らない。これまで「はて・・・?」と、なっていました。
それで今回カシミールで作図してみました。南アルプス方向の写真も載せましたので参考にしてください。実際にはカシミールの図のように細々と見えることはないかもしれませんが。また詳しい方がいましたらどうぞ小屋番に教えてくださいませ。お願いいたします。
*お知らせ:宿泊帳の領収欄に押してあるスタンプ。これまで使ってきた丸型から、新しく峠からの眺めをデザインした四角型のスタンプに変わります。現在の物が無くなり次第新しいものにと切り替えていきます。このスタンプにも雁坂峠から見える標高ベスト3が入っています。お楽しみに。
*日暮れ: 下界でも朝夕は涼しくなり日の暮れるのが早くなってきました。小屋の周りも秋になりました。白樺の葉も黄色く枯れて落ちていきます。宿泊予定のお客様は遅くとも4時には小屋へ着くようにお願いいたします。今だとできれば3時半くらいに来ていただくと安心。そうでないと「何かあったかな・・・」と小屋番は何度も外へ出て気配を確かめ、気をもむ事になります。携帯の通じる場合はぜひご連絡を。夏ならまだしも、これからの季節は何かあったら命にかかわる可能性が高まりますので。
薪ストーブからの煙の色、臭い、燃える音、暖かさを楽しめる季節の到来です。秋の夜長、食飲研修もじっくり楽しむことができます。薪もたくさん用意してお待ちしています。
日帰りのお客様もヘッドライトは必ずお持ちください。
*トレランの大会先月末にもご案内したトレランの大会が来週行われます。雁坂小屋付近は18日(日)のお昼ころから数時間にぎやかになります。
*このところ:台風の影響で山はたっぷり水を吸っています。登山道や徒渉部分に大きな障害はありませんが、丸太の橋や岩など濡れて滑りやすくなっています。道にも水が流れている場合があります。気を付けて上がってください。
*雁坂ハートマークはまた💛の形に戻ってきました。

2016年9月4日日曜日

手ぬぐい新色登場 台風の続報

先週ブログをおしまいまでご覧になった方はすでにご存知かもしれませんが、雁坂小屋オリジナル手ぬぐいに新色が加わりました。にぎわいシリーズに緑が登場。また品切れになっていた青も復活しました。にぎわいシリーズが3色になりました。実物が小屋に貼ってありますのでご覧になってお気に入りの色の手ぬぐいをどうぞお求めください。また「小屋」も好評販売中です。


赤線は登山道 緑丸は遭難碑
黄丸は昇竜ノ滝の看板のあった
場所。倒木と一緒になって
看板は右下に少し見えています
先週にお知らせした水源の被害の続報です。
沢の上には丸太が
現場に行くと余りの変わりように、どこから・何から手を付けたらいいのかとまどい、しばらく眺めてしまいました。タンクの場所まで安全に上がるルートを見極めますが、沢の上には丸太が引っ掛かった状態でいるのが見えます。既に1週間以上過ぎているのにまだまだ激しい水量。時折石も流れ落ちてきます。左側から回り込んでタンクまで行くと受水タンク・貯水タンクの上は土砂の山。タンクの上部5mから10mの場所から落ちて来たであろう石が何個も。大きいものでは60~70cmくらいあります。その勢いで金属フレームや鉄筋も曲がっていました。ただ幸いな事にコンクリートの枠は直撃されずにすみました。落ち葉などのごみ除けネットは金属枠ごと押し流され、受水タンクは土砂で埋まってしまいました。貯水タンクは40cmくらい汚泥。その下に20cm砂利がたまっていました。頭上の丸太と水の流れを気にしながら一つ一つ石を丸太を泥をどかしていく作業が続きました。そんな時、沢の下に黒い影が動き、のっそりと表れたのは沢登りの男性。しかも単独行。「こんな時、何やっているんですか」と怒鳴ってしまいました。が、激しい沢水の音でその方には聞こえなかったことでしょう。パイプを繋ぎ直して小屋まで送水。沢の水量が多いので今回の作業はここまで。登山道わきにあった水をくむためのパイプも全て流されました。水量が落ち着いたらまた付けます。春先、雪の中からタンクを掘り出すのも重労働ですが、今回の作業はそれにも増してきつかったです。

遭難碑の部分は岩などが落ち着いてから手を入れておきます。
三富から峠へ向かう途中の徒渉箇所の橋は常連のお客様に掛けなおしていただきました。ありがとうございました。
実験終了:雁坂小屋のトイレは昔ながらのトイレ。汚物をEM菌を使って処理するため殺虫剤が使えません。そのためどうしてもハエが発生します。今年はペットボトルに砂糖・酢・日本酒を入れたハエの捕獲装置を作り様子を見ました。8月の1か月間でしたが効果はばっちり。大量のハエ類を捕まえることができました。来年はもっと早くから取り組んでみます。・・・・衝撃的写真なので載せることは控えます。
日中は暖かくても夕方ぐんと寒くなり、朝方冷え込むと13℃くらいまで下がります。曇っていると15~16℃。ヤナギランの種が綿毛になって飛び始めました。寒くない装いでおいでください。