2017年1月30日月曜日

ながい1月

小屋にいるとき、お客様から「イシさん」とか「イシちゃん」」と呼ばれている私は、今度の誕生日が来ると64歳になります。この年になると時間の過ぎるのが実に早いのです。あっという間に時が過ぎていくのですが、この1月はまだ1月です。ことのほか長く感じています。
さて、この時期の小屋や峠の様子は、同じくらいの標高にある雲取山荘さんのホームページhttp://kumotorisansou.com/の最新情報を参考にしてください。毎週火曜日の気温や積雪状況など知らせてくれています。
また、アメダスの秩父の観測記録で、気温・降水量・積雪量・気圧状況など知ることができますので、こちらも参考にしてください。
    あなたの知っている後藤さんのことを教えてください   
前回皆様にお願いした原稿を私も書き始めました。書いてみて感じていることがあります。最初にも書きましたが、小屋にいるとき「イシさん」とは呼ばれていますが、ハンドルネームの「isisan」ではないのです。お客さまとのやり取りを文字で表わそうとすると「isisan」ではなく「イシさん」でないと、何かしっくりこない。耳で聞くことばと目で読むことばの違いです。
 お客様も後藤さんとのことをあれこれ思い返しながら書いていて、同じように感じている方がいるのでは。原稿は印刷してご家族に見ていただくのと、小屋へ置いて見てもらいますが、ネットで公開などはしません。皆様の判断で「isisan」ではなく「イシさん」で、あるいは「Iさん」ではなく「イシさん」で大丈夫でしたら、そのように表現してください。よろしくお願いいたします。それから後藤さんのご自宅へお邪魔したとき、「ヤマレコで皆さんが使っているので、私もラ〇〇と呼んでいます」とおっしゃっていました。「ラ〇〇さん」の方が書きやすければこれも許していただけると思います。あなたがふだん呼びかけている形が、いちばん無理なく伝わります。

2017年1月18日水曜日

最強寒波の中で


 この冬最強の寒波がまだ居座っていて寒いです。さらに金曜日は雪かもしれないとか。山行を予定の方はくれぐれも気を付けてください。
14,15の土日にmasatさんが小屋へ上がり小屋入口や道標に注意喚起の案内を付けて頂きました。
寒さは15日の朝、宿泊棟入り口の温度計で-18℃まで下がったそうです。雪は道の駅みとみから雁坂峠までは、有ってもくるぶし程度。沢の周辺は凍結が進んでいます。峠近くのルート記号の木はまだくぐって歩ける状態でした。峠から小屋までは深いところは脛程度。夏道を普通に通れるようです。トレースに関しては小屋へは峠からのみ。他のルートは鹿以外は利用して無い感じです。とのことです。詳しくはmasatさんのヤマレコをご覧ください。
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1048186.html

先週は、後藤さんの通夜と告別式が行われました。
お通夜と告別式までは、まだどこか現実とは離れた感覚がずっと続いていて、時間が過ぎました。今回初めて後藤さんの仕事のことを知りました。ご家族ともお目にかかりました。公務員という事と、現在は自転車で自宅から通えるのでゆっくりできるとも話しておりましたが、それ以上のことはうかがっていませんでした。私にはよくわかりませんが、組織や仕事の質を考えると、ストレスの多い仕事だっただろうと思います。でも小屋にいるときの後藤さんはそれを全く感じさせることなく、私どもに接してくれていました。メガネの奥のやさしい眼差しと柔らかい声は、ご家庭でのやさしい夫であり父親である後藤さんの様子とも重なりました。
  
 後藤さんとのお付き合いは小屋にいるときでした。街でお会いしても「山の人」の延長でした。後藤さんの事をいつまでも忘れずにいることが私ができる事であり、それがご供養になるのだと山の若い方から教わりました。

そこで皆様にお願いがあります。
      あなたの知っている後藤さんのことを教えてください   
 ご家族にとっては夫であり父親であるときの姿。職場では上司であり部下であり同僚としての後藤さんがいました。山に入ると、小屋に居ると、また違う後藤さんがいたと思います。「山の人」の後藤さんのことを皆さんに教えて頂き、まとめてご家族に見てもらおうと考えています。このことはご家族にも了解していただいてあります。

・原稿の形式や量は問いません。
・字体や行数・文字サイズなどは編集いたします。
・写真は800pixelsくらいのサイズで添付してください。大きいままでもこちらでサイズを小さく致します。
・送ってもらった原稿をまとめて編集、印刷してご家族にお渡しいたします。
・小屋へおいでの時にも、皆さんに見てもらえるよう置いておきます。
・ネット上での公開などは考えていません。
・文中の個人名や肩書などは出来るだけイニシャルやハンドルネームなどで表現してください。
・原稿の最後にお名前・連絡先(メールアドレス等)を書いてください。個人情報の扱いには十分注意します。顔もハンドルネームもよく知っているけれど、後藤さんの下の名前の読み方を今回初めて知ったというほどずぼらな小屋番です。この辺の配慮をよろしくお願いいたします。
・原稿はブログのアドレス宛にお送りください。
・一応の締め切りは2月15日頃にいたします。
・雁坂以外の場所で後藤さんに出会っている方も、どうぞその時の様子を教えてください。たまたま雁坂へ来たお客様が【逢いましょう】の後藤さんの名札を指差して「この方とは会ったことがあります」と言われたことが何度かあります。後藤さんとの出会いはほかの山域でもたくさんあると考えます。ヤマレコでの後藤さんのマーク?アイコン?や、ハンドルネームを表記してはいませんが、多くの方々の目にこのお願いが留まることを願うばかりです。

*元日、ブロブを書くか、どこまでの範囲で書くかを悩みました。書いては消しを繰り返しました。
初めの「お客様」から「後藤さん」と、名前を出す時も悩みました。報道機関から名前も職業も年齢も住所の一部をも載せた記事が流れたので、ブログもその範囲で書くことにしました。
*ヤマレコに大晦日から元日の様子を書いてくれたお客さまも、同じように考え悩んだ末の事と思います。事故が起こるまではいつもの楽しい時間が流れていた。私はそれを知ることができたことを感謝しています。
*いろいろな考え方、感じ方があって、もしかしたら不快に思っている方もいるかもしれません。その方にはお詫びをいたします。
*ブログあてにもたくさんの方からお悔やみや励ましのメールをいただきました。ありがとうございました。
*雁坂小屋の今年最初のお客様としてお迎えしたかもしれなかったもう一人の方の事も心に残っています。
*最後になりましたが、埼玉県警山岳救助隊、秩父警察署、埼玉県防災航空隊、秩父環境事務所、秩父市役所、大滝支所、さいたま森林管理事務所、東京大学秩父演習林の皆様には、今回大変にお世話になりました。ありがとうございました。

2017年1月8日日曜日

1週間が過ぎ


突然の出来事。
 雁坂小屋にとって後藤さんは大事な大切なお客さまであり、山の仲間であり、スタッフのような存在でした。
ヤマレコの記録によると、初めて雁坂へおいでになったのが2013年7月。
その後、後藤さんのヤマレコを見て多くの方々がコメントを書きこみ、雁坂での交流が広がっていきました。
「ネット上ではハンドルネームなど知っているけど、直接会ったことがない。もしかしたら他で出会っているかもしれない。みんなで逢ってみたい」と、日時を決め、それぞれが自由なコースで雁坂へ上がって来る「集い」が始まることになりました。年2回のぺースで「雁坂で逢いましょう」が行われました。中心にはいつも後藤さんがいてくれました。昨年は小屋あけ前から登ってきて道の点検をし、「逢いましょう」メンバーによる荷揚げをしてくれました。その時背負い上げた青ペンキの一斗缶はまだ小屋にそのまま残ってます。
「この間のブログ、読んでいて涙が出たよ」と何度か言われたこともあります。山小屋の仕事を興味深くいつも見ていました。限られた条件や環境の中で、どんなことを、どのようにしているのか。仕事の何が大変なことなのか。逆に小屋番が嬉しいのはどんなことなのか。その仕事が自分を含めた山に来る人にとってどんな意味や恩恵があるのか。などのことをやさしい眼差しで探っていたように思います。同じ立場で、目線で見て感じてくれる方でした。そういう人が居てくれることは、小屋番にとって、ありがたく嬉しいことでした。自分にもできることは何かといつも考えていたようです。今回の事故の時も、雁坂小屋にかかわっている者としての気持ちから、すぐ現場に向かったのだろうと思っています。慎重な彼だからアイゼンなどの装備も付けていたのですが。
先日、ご自宅で会ってきました。3年間、濃く深くお付き合いしてもらったのに、こんな形でのお別れは悔しくてなりません。
 20回目となった雁坂越年登山の記録、まだヤマレコにはアップされていません。
年明け早々に各行政機関にも動いていただき、雁坂への登山口に注意喚起の案内を付けました。
これから本格的に冷え込み、雪も降ります。凍った上に雪が付き氷と地面との境が見分けがつきにくくなります。突出コースはダルマ坂から小屋にかけての間が雪が積もると厳しい区間になります。暖かくなるまでは通行は控えてくださいませ。
------------------------------------------------
【連絡先】 〒369-1901 秩父市大滝3423 山中 五郎
  電話・FAX 0494-55-0456
*スマホなどのお客様は「ウェブバージョンを表示」をクリックして全体像をご覧ください。

2017年1月1日日曜日

滑落事故が発生しました

大変に悲しいお知らせをいたします。

1日の午前7時50分頃、雁坂小屋から突出コースを150mほど行った沢の部分で滑落事故が発生しました。

樺避難小屋から雁坂へ向かっていたお客様が凍結した沢の部分を横切る際に誤って滑落してしまいました。
知らせを受けて小屋の者と小屋においでになったお客様が現場に向かいましたが、引き返す際にそのお客様も同じ場所で滑落してしまいました。

山岳救助隊による救助活動が行われましたが、残念なことにお二人ともお亡くなりになりました。

亡くなられたお客様、ご家族の皆様に心からお悔やみを申し上げます。