2016年9月26日月曜日

トレラン大会の後、黒岩・突出とも道が大変に荒れています


 先週の日曜日18日にスポーツエイド・ジャパン主催の「雁坂峠越え秩父往還道145km」トレラン大会が行われました。前夜から降り始めた雨は朝になってもやまず、小屋の者は、道は大丈夫だろうか。足や腕をむき出しの格好で滑落事故や低体温症などの事が起きたらどう対処するのだろう。この天気ではヘリは飛ばないし、と気をもんでいました。雨の中を黒岩コースから選手が登ってきます。次第に泥だらけになった姿が目立ってきました。ドロドロの姿は登山道を這い上ってくるから。むき出しの足、腕、顔、ゼッケンや背負っている荷物、どこも泥で汚れていました。後半になるほど激しく汚れています。トイレ脇の水道で手や顔を洗うので、バケツの水が茶色く濁り、何度水を変えてもすぐ濁ります。水を捨てるとバケツの底には泥がたまりました。選手は峠に立ってから突出コースを降りていきました。翌19日に小屋番も黒岩コースを降りました。道の様子は前回のブログに書きましたが、トレランのために道はぐちゃぐちゃ、どろどろ。何か所も路肩が崩れ落ち、こねくり回した泥の斜面になっている。それはひどいものでした。5月の連休以降、ストックを三角フォーに変えて、小屋への登り下りのつど、ちょっとずつ登山道を整備してきた小屋番にとっては耐え難い光景でした。安全に、楽しく上がってきてほしいという願いは、数時間で蹴散らされました。この時にはまだ突出コースの事は確認できていませんでした。
大会後に数名の方からメールが入りました。「登山道をぐちゃぐちゃに荒らしてしまった」事をわび、「何か自分にもできることはないだろうか」と問いかけるものでした。またヤマレコの中にも「雨の為、大会にて参加者が通るため崩れてしまい、最後にボランティアスタッフが下山するころはかなり、【突出コースの】登山道はぐちゃぐちゃでした。」という記事もみました。今回の全ての責任は選手個人ではなく、参加費を集めて開催する主催者にあると考えます。この後、どんな事後の対処をするのか主催者の動きを待っていました。
そして【9月21日に山岳区間を点検・補修作業に行ってまいりました】という主催者のフェイスブックに9月22日1:00にアップされた記事を読み、何か違和感を感じました。「現時点では通過に問題ありませんので、ご安心ください。」というコメントにびっくりなら、記事の構成も何かおかしい。https://www.facebook.com/SportsAidJapan/?hc_ref=PAGES_TIMELINE&fref=nf
1枚だけ張られた写真は苔むす倒木、笹、霧の立ち込める「奥秩父の幽玄さ」を表すイメージ写真。「路面が荒れ、崩壊箇所もあるので、・・・・」などの意見を受けての点検・補修作業なら、なぜその写真を載せてないのか。見せられない状況なのか。それでも、本当に問題はないのか。
今回、24・25日に突出・黒岩登山道の巡視点検をしてきました。実際に見て写真も撮ってきました。現時点で両方のコースとも通ることはできます。が大変に滑りやすく、流れた土壌の回復や、崩れ落ちた路肩など、解決されてはいません。通過に問題はありませんという見解はどこから出てきたのでしょうか。突出コースでは雁道場から突出峠の間が特に荒れています。赤土がむき出しになった滑りやすい場所と、その下に腐葉土層がこねくり回されてグジュグジュになっています。黒岩コースでは天然唐松見本林から先が荒れています。路肩が崩れると、荒れていない足場を求めて次々に山側を通ろうとする。そこでまた滑り・崩しの繰り返しで、谷に向かって滑り落ちそうになる斜面がいくつも。そこには笹の葉や茎、根が下に向かって谷側に押し付けられ、さらに滑りやすくなっている。1週間たってもまだ怖さがある。通過するのが大変。
それから主催者によるであろう補修の跡は3箇所だけ確認した。
「この先、路面が乾くのを待って登山道の整備に入る予定です。」や「トレランの行為によって山を痛めてしまうことは、耐えがたいほど切ないです。」と書いているからには、真摯に回復作業に取り組んでいただきたい。11月に入ると霜が降り、湿った日陰は氷が張るようにもなり、天気の悪い時の作業は逆効果にもなります。あまり時間は残っていません。またこの気象状況で実施したことについてもしっかり検証して今後の事を検討していただきたい。これまでトレランの大会には理解を示してきたつもりだが、今回の事はあまりにもひどい。
ただ、今回の騒動の中で小屋にとって救いだったのは、突出を上がり黒岩を降りて、実際の様子を確認しに来たお客様がいらしたこと。ついこの間フルで走って体力的に厳しい時にもかかわらず。その気持ちがありがたいことです。他にも、個人や有志で何かできないかと考えている方々がいること、メールなどで声を寄せていただいていることがが救いです。
*突出コースの荒れた場所や考えられる仕組み、黒岩コースの荒れの事はまた後日書きます。
*黒岩コース ふくろ久保の手前と、つり橋小屋方向との分岐の先、2か所に倒木が発生しました。また林道入り口から少し進んだ先が土砂崩れしています。歩きで通れますがくれぐれも頭上注意をお願いします。【様子は写真をご覧ください】
*気温は晴れると朝は10度位まで下がります。日が当たると暖かいものの日暮れは徐々に冷え込んできます。