2017年12月26日火曜日

雁坂周辺の動物・植物


   雁坂周辺で見ることができた動物・植物のご紹介です。
左上:ツキノワグマ isiは出会ったことはありませんが防腐剤を染み込ませた道標をかみ砕いた物はあちこちで見ています。
右上:鹿 20年ほど前から増えすぎて峠のお花畑が消えました。
左下:てん 冬は白毛になります。残飯あさりに出てきました。
右下:おこじょ 管理棟のトタンの穴から出入りして床下でゴソゴソ。かわいい姿でも、姫ネズミを餌にしようとする時の牙はすごい。うっかり指など出してかじられたら大変。


左上:姫ネズミ 暖かくなると土間を走り回り、時には食材をちょっとかじったり。
右上:サンショウウオ  春から秋まで、豆焼き沢からの水を水晶谷に流しいる水場は人工の沢。サンショウウオが谷から上がって管理小屋へ遊びにきました。
左下:アサギマダラ  夏、汗をかいた小屋番の顔についた塩分をなめに来たようです。
右下:カモシカ 昔は小屋の周辺で見かけましたが、鹿に追われたのか最近は麓で見かけることが多くなりました。一度出逢うとジーと5分くらいは動かずにいてくれます。


続いて峠や小屋周辺、登山道で見かける植物。春から秋にかけて並べてあります。
①ハシリドコロ Scopolia japonica (ナス科ハシリドコロ属)  秩父では低山帯から亜高山帯までの湿った斜面や登山道で普通に見られます。花後に実もつきますが、毒草なので食べられません。
②バイカオウレン Coptis quinquefolia (キンポウゲ科オウレン属)  秩父では1,500m前後の山地帯上部から亜高山帯の半陰地で見られます。常緑多年草なので、花や結実のない時期でも見つけることができます。葉がウコギ(五加)の葉に似ていることから、別名「ゴカヨウオウレン(五加葉黄連)」とも呼ばれています。
③ウスギオウレン Coptis lutescens (キンポウゲ科オウレン属)  同属種として、白花のセリバオウレン Coptis japonica var. major やコセリバオウレン Coptis japonica var. japonica もあります。バイカオウレン同様、山地帯上部から亜高山帯で自生しています。
④タケシマラン(Streptopus streptopoides) 茎の2分化や葉の並行脈、葉や花の付き方等から、写真の花はタケシマランのほうではないかと感じたところですが、タケシマラン及びヒメタケシマランの同定については、雌蕊の柱頭の形をルーペで確認するか、根茎の形を確認するしかないので、来シーズンの調査山行時に出逢えたら確認してみたいと思います。

⑤アカバナヒメイワカガミ (イワウメ科イワカガミ属) Schizocodon ilicifolius var. australis  埼玉県内の山地帯上部~亜高山帯で自生しているのは、葉に大きな鋸歯がいくつかあるアカバナヒメイワカガミが一般的です。ヒメイワカガミは普通花が白、イワカガミは葉が丸いです。
⑥アズマシャクナゲ (ツツジ科ツツジ属)hododendron degronianum var. degronianum  秩父では山地帯上部から亜高山帯に自生しています。和名のアズマシャクナゲは東国シャクナゲの意で、関東の山に多いことから名づけられました。常緑の葉はハクサンシャクナゲより細くスマートです。尚、埼玉県では準絶滅危惧種(NT)に指定しています。
⑦カモメラン Galearis cyclochila (ラン科カモメラン属)  埼玉県では絶滅危惧ⅠB(EN)類、環境省では準絶滅危惧(NT)に指定されている大変希少なランです。鹿等による踏み付け被害が懸念されており、今後の生育状況が注視されているところです。写真はkiyopon様提供です。
⑧フデリンドウ Gentiana zollingeri   (リンドウ科リンドウ属) 県内では比企などの丘陵地から奥秩父の亜高山帯まで、自生域の広い春咲きの植物です。登山道で時々見かけますが、お花が小さいのでうっかり踏みそうになります。
⑨ギンリョウソウ Monotropastrum humile (ツツジ科ギンリョウソウ属)  秩父では低山から亜高山帯まで、自生域の広い植物です。樹木や特定の菌と共生している腐生植物なので葉緑素を持っていません。林下で生えている姿から「幽霊茸」と呼ばれることもありますがキノコではなく植物です。
⑩ハクサンシャクナゲ (ツツジ科ツツジ属) Rhododendron brachycarpum var. brachycarpum  秩父では亜高山帯、特に県境尾根(主脈縦走路)に自生しています。アズマシャクナゲと比べると開花時期が遅く、また葉の幅が広く丸みがあります。埼玉県では絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定しています
⑪ヤナギラン (アカバナ科ヤナギラン属)  Chamaenerion angustifolium ssp. angustifolium 埼玉県では絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定されていますが、秩父では鹿の食害により、柵で保護した場所以外での自生はほとんど確認できなくなってしまったという大変貴重な植物です。葉の形が柳の葉に似ることからこの名前がつきました。
⑫クルマユリ Lilium medeoloides (ユリ科ユリ属) 奥秩父の亜高山帯に自生しています。埼玉県では絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定されています。葉が放射状についている姿からクルマユリと名付けられました。種子が発芽しても開花まで数年を要するので、開花した姿は貴重です。尚、花弁に黒い斑点のないタイプはフナシクルマユリLilium medioloides f. imnaculata になります。
⑬イワインチン Chrysanthemum rupestre (キク科キク属)  秩父で自生が確認されているのは、現時点では雁坂峠のみです。埼玉県では絶滅危惧ⅠB類(EN)に指定していますが、鹿の食害等による絶滅リスクが非常に高いといわれている植物です。ヨモギに似たキク科植物なので秋に見られるお花は非常に地味で目立ちませんが、県内では今のところ雁坂峠限定の貴重な植物ですので大切に見守ってあげて頂けたらと思いました。
*もし雁坂峠以外の場所で自生を見つけたらぜひ教えて下さい。
⑭バイケイソウ Veratrum album ssp. oxysepalum (シュロソウ科シュロソウ属) 秩父では山地帯上部から亜高山帯の湿った場所に自生しています。春のハシリドコロ、夏のバイケイソウ、秋のトリカブト類といった毒草御三家は鹿も食べないと言われているせいか、登山道の途中で群落を見ることができます。
⑮リンドウ Gentiana scabra var. buergeri (リンドウ科リンドウ属)  秩父では低山帯から亜高山帯まで幅広く自生しています。雁坂峠でも秋になるとミヤコザサの間から顔を出してくれます。

*植物についてはさいたま市の林様に解説をしていただきました。ありがとうございます。
*動物・植物ともまだまだ他にもいろいろありますが、手持ちの写真がこのくらいでしたので。今度雁坂周辺を歩くとき足元にも気を付けて見て楽しんでください。

*2013年8月24日からこのブログを書いてきましたが、この原稿でisiは卒業になります。
すでに始まっていますが新年から新しいメンバーに雁坂ブログを書いてもらいます。
これからもどうかよろしくお願いいたします。(256579)