2013年12月5日木曜日

セイちゃんのお勧め 「梓小屋」

 小屋閉めの日。テントのお二人。他県からと覚えていたので、「奥秩父にはよく登るんですか」とお聞きしました。「これが2回目。最初は雪が残る甲武信から大弛まで歩きました。富士山がきれいでしたよ。」との事。甲武信から大弛までの道は、距離が長く、他と比べ歩く人も少ないコース。「雪が残っていると余計に大変だったでしょう。」と話した後、「梓小屋」のご紹介をしました。

 『梓小屋』という山小屋をご存知ですか? 梓小屋と言うと、長野県の松本方面、北アルプスにある小屋のようにも感じますが。その小屋は甲武信ヶ岳と国師ヶ岳を結ぶ稜線の、ほぼ中間から長野側に少し下った沢の源頭にあります。千曲川支流、梓川の谷の上部に位置するので梓小屋と名付けられました。周囲には見事なシャクナゲの群落があり、小屋主はまだ若い長嶺亨さん。スタッフは経験豊富なゴロさんこと多田悟郎さんと、若い高沢美由紀さんの3人。

 と、書いていくと本当にこの小屋が存在しそうです。実は笹本稜平さんの『春を背負って』 (文藝春秋) という小説です。昨年2月、日曜の夜。NHKラジオ「新日曜名作座」を聞いていたセイちゃんが、「ウン?、これはいい」と興味を持ち、NHKに問いあわせて本を取り寄せたそうです。
『面白いよ、読んでみなよ』と渡された本には甲武信ヶ岳から大弛小屋辺りまでの地図のコピーが添えられていました。話に出てくる地形の描写などを「この辺りかな?」と地図に重ねて読み、自分が歩いた時の記憶も重ねると楽しさが膨らみます。
文藝春秋
規模も置かれている環境も雁坂などと同じ小さな山小屋を舞台にしたお話し。北アルプスのような派手さは無いけれど、奥秩父の山と谷の良さを感じて、「昔ながらの」が枕詞につく雁坂小屋に足を運んでくれるお客様との触れ合いも重なってきます。読み進めるうちに心がほわーと優しくなってきます。「春になったら、また山に行きたい」と思いますよ。
雁坂小屋スタッフ「セイちゃん」お勧めの一冊です。
もちろん小屋にも置いてありますよ。
ちなみに、雁坂小屋のオーナーはゴローさんです。
 
 それから前回の話で、LArcさんに『小屋閉めの作業お疲れ様です。』の言葉と合わせてバナナをいっぱいいただきました。3日前に背負い上げたバナナはすでに寒さのため皮が真っ黒になっていました。LArcさん、どうもごちそうさまでした。